「カエティス君、私の前では我慢しなくていいんだよ」
「えっ?」
突然の言葉にカエティスは驚いて目を見開く。
「赤ん坊の頃から知ってる君は、私にとっても大事な息子なんだよ。何せ、君のおしめを替えたのは私だからね」
十歳にしては痩せている小さなカエティスを軽く抱き上げ、ベルナートは微笑む。
「……カーテリーズには、カリンには、最後まで言えなかったけど、私はカリンと君をずっと守りたかった。夫として、父として」
少しだけ照れくさそうに微笑して、ベルナートは告げる。
「……だから、私の前では泣いていいんだよ。我慢しなくて、いいんだよ」
優しく囁くようにベルナートはカエティスに言う。その眼差しは本当に優しく、暖かい。
その言葉に、カエティスは抑えていたものが堰を切ったように溢れ出した。
ベルナートの首に手を回し、静かに泣いた。
「……先生……お母さん……」
小さく嗚咽を上げるカエティスの背中を、ベルナートは優しく叩く。
しばらく、静かに泣いていたカエティスは落ち着きを取り戻し、地に足を付ける。
「司祭様、あの、ありがとうございます……」
赤く腫らした目でカエティスは笑った。


