込み上げる涙を抑え、カリン愛用の赤眼の剣を抱えて、カエティスは静かに見つめる。
その彼の両手首には育ての母から渡された腕輪が嵌められている。
安らかな、ただ眠っているだけのような優しいカリンの顔をカエティスは静かにじっと目に焼き付けるように見つめる。
その小さな後ろ姿を心配そうにベルナートが見守る。
「……お母さん。俺、旅に出ます。色々な意味で、もっと、もっと強くなって帰って来ます。そうじゃないと、誰も守れないから……。先生……お母さんとの約束、破っちゃうけど、見守ってて下さい」
小さく、小さく呟き、カエティスはカリンの組まれた手を握る。血が通わない剣だこだらけの手は冷たく、硬い。
それでも、カリンの優しさをカエティスは感じた。
しばらく、カリンを見つめ、カエティスは優しく微笑んだ。
そして、立ち上がり、カリンに背を向け、ベルナートの元へ歩く。
「……カエティス君、もう、いいのかい?」
「はい。このままずっと先生と一緒にいたら、『めそめそするな。私の息子なんだからしっかりしろ』って、怒られますよ」
小さく笑みを溢し、カエティスは言う。
彼の笑みを見て、ベルナートはカエティスを抱き寄せた。
「司祭様?」
突然のことに驚いて、カエティスは戸惑いながら声を掛ける。


