公爵の娘と墓守りの青年


「……とにかく。しばらくの間、お前はここにいろ。その頭の怪我のまま、うろつかれたら街の者達が驚く。だからここにいろよ。カエティス、いいな?」

人差し指をカエティスに向けて、クレハノールは告げた。

「……う、うん……」

「よし。これで怪我が治ったら安心して勝負を挑めるな」

戸惑いながらカエティスが頷くのを確認して、クレハノールは笑う。

「いや、あのさ、俺は勝負をしないからね。クレハ」

満足気に何度も頷き、クレハノールはカエティスの言葉を無視して部屋を出て行った。

「……うわぁー……どうしよう。勝手に納得して行っちゃったよ……」

困ったように呟き、カエティスは布団に顔を埋める。

「……あの子も決断が早いからね。頑張って逃げなさい」

ぽんとカエティスの肩を優しく叩き、ベルナートは苦笑する。

「うぅ……はい」

言葉にならず、カエティスは困った顔で頷いた。





それから次の日。
カエティスは聖堂に安置されているカリンの亡骸に会った。