公爵の娘と墓守りの青年


カエティスの呟きにクレハノールが睨むような目で返す。

「クレハ……?」

「怪我人と死者が出たのに良かったとは言えない。それも私の大切な友人とその母親だ。街の者より大切な人達が、怪我をして、亡くなった」

泣きそうな顔をするクレハノールをカエティスは静かに見つめた。

「すまない、カエティス。私達のせいだ」

「……クレハやクレハのお父さんのせいじゃないよ」

穏やかに微笑み、カエティスはクレハノールに手を伸ばす。
安心させるように彼女の手を優しく叩く。
カエティスの行動にクレハノールは驚きながらも、気が緩んだのか涙を流してしまった。

「……どうせ、自分のせいだ、とお前は言うのだろう? お前はいつも一人で抱え込むから。そういうところはカリン先生にそっくりだ。父上もそう仰ってたぞ」

涙を袖で乱暴に拭き、クレハノールはカエティスを見据える。

「本当にそっくりだよ、カエティス君とカーテリーズは」

クレハノールの言いように、静かに聞いていたベルナートが笑う。
似ていると言われ、嬉しいのだが、この場合、喜んでいいのか分からないカエティスは困ったように頬を掻いた。