公爵の娘と墓守りの青年


「クレハ……」

部屋に堂々と入り、ベッドまで近付いて来るクレハノールにカエティスは驚く。
ベッドの前で立ち止まり、クレハノールは横たわるカエティスをじっと見つめる。

「クレハ……?」

いつもと様子が違うクレハノールにカエティスは戸惑いがちに声を掛ける。

「――すまない、カエティス」

勢い良く頭を下げ、突然クレハノールは謝った。
突然のことにカエティスは目を何度も瞬かせる。

「何で、クレハが謝るの?」

「……お前やカリン先生を助けられなかった……」

俯き、クレハノールはぽつりと呟いた。

「……最近、死んだはずの者達が人々を襲うという話が近隣の街から来ていた。私や父上はそれを知っていた。知っていて尚、この街にはまだ来ないだろうと踏んで、ゆっくり準備をしていたんだ」

そこで言葉を止め、クレハノールは手を握り締める。

「だけど、昨日、奴等は来た。街にも、お前のところにも」

クレハノールの言葉に、カエティスは目を見開き、身を起こす。勢い良く起きた拍子に頭を揺らしてしまい、顔を顰める。

「街にも来たの?」

「ああ。だけど、大丈夫だ。お祖父様が浄化してくれたおかげで、怪我人はいない」

「そっか。良かった……」

「――良くない」