公爵の娘と墓守りの青年


何が起こったのかを思い出し、カエティスは静かにベルナートに問い掛ける。

「……まだ一日だよ」

「一日……」

心配そうに横で手を握るミシェイルを見て、カエティスは呟く。

「あの、カリン先生はもう……お墓に入りましたか?」

カエティスは言いにくそうにベルナートの方に顔を戻し、聞く。

「……まだだよ。カエティス君と最期の別れをした方がカーテリーズも良いだろうと思って、聖堂に安置しているよ」

顔を曇らせ、ベルナートは躊躇いがちに答える。

「そうですか……。ありがとうございます。あの、司祭様、怪我は大丈夫なんですか?」

「ああ、大丈夫だよ。カーテリーズが止血と一緒に傷を塞いでくれていたようだから。それより、君の怪我の方が心配だよ、カエティス君」

頭に包帯が巻かれてあるカエティスを心配そうにベルナートは見つめる。

「……俺は、大丈夫です。このくらい、どうってことないです」

カリン先生と比べたら、までは言わず、少し視線を外し、カエティスは答えた。
そこで、ふと気になったことを聞いてみた。

「あの、ところでここは何処ですか?」

「ウィンベルク公爵のご自宅だよ」

「えっ、どうして、ウィンベルク公爵のところなんですか?」

「――父上の配慮だ」

扉の方向から声を発し、平然とした態度で少女が入って来た。