公爵の娘と墓守りの青年


「女神? 俺はその人を知らない。でも、そんなに欲しいなら、人の力じゃなく、自分の力で手に入れてみろよ!」

飛んで襲って来る男達の武器を赤眼の剣で防ぎ、カエティスは叫んだ。
横から迫るナイフを紙一重で躱す。
背後から今度は足が伸び、背中を蹴られる。
地面に当たり、一瞬、息が止まる。
咳き込みながら、カエティスは赤眼の剣を杖代わりに立ち上がり、息を整える。

「……考えろ、先生はいつもどうしてた……?」

そう呟き、カエティスは目を閉じる。
目を開け、カエティスは腰を低く落とし、子供には重く、大きな赤眼の剣を両手で構え直す。
こちらへ走って来る男達の攻撃を赤眼の剣でまた防ぐ。が、相手は死者とはいえ大人の男達。腕力には敵わず、今度は赤眼の剣を押し返され、近くの木までカエティスは飛ばされる。
木にぶつかり、カエティスは地面に倒れる。

「ふん……所詮は子供だ。神の落とし子と言えど、大人には勝てないのだよ」

優越感に満ちた声音で嗤う。

「……人数揃えて、子供に挑む大人に言われたくないな」

嗤う声に、育ての母直伝の軽口でカエティスは言い返す。
よろよろと起き上がり、額に触れる。ぬるりと温かいものと痛みを感じ、手を見る。血が流れている。