公爵の娘と墓守りの青年


赤眼の剣の柄を強く握り、カエティスは黒い霧を見据える。

「……だから、俺のような子が増えないように、ここで終わらせるっ」

乱暴に涙を袖で拭き、カエティスはカリンの亡骸の前に立つ。
カエティスの言葉に応えるかのように、赤眼の剣が強く赤いオーラを放つ。

『ヤレルモノナラヤッテミロ、神ノ落トシ子』

黒い霧はせせら笑い、倒れていた男達の中に分散して入る。
入ったのと同時に、男達は立ち上がり、カエティスに近付く。
カエティスは口を引き結び、剣を構え直す。
ちらりと育ての母の亡骸を見る。
優しげに満足したように安らかに眠る母を、カエティスは優しい表情で見る。

「……先生、俺、剣を握らない約束、もう破っちゃいそうです」

カリンを見て落ち着いたのか、カエティスは近付く男達に目を戻し、相手の動きを窺う。
死した身体の男達が掠れた声で嗤う。まるで、死への歌声のような声で嗤う。
それぞれカリンに壊されたはずの武器を構え、男達はカエティスに近付く。

「……神の落とし子……」

同時に男達が声を合わせる。
不快な声に、カエティスは眉を寄せる。