「……せ、先生……お母さん……」
ぎゅっと手を握り、カエティスは涙をぼろぼろと流す。
「……お母さん、か。嬉しいなぁ。お前に出会えて、お前が、息子で本当に良かった」
同じようにカエティスの手を握り、カリンも涙を流す。
「――カイ、カエティス……。お前は私の誇りだ。私の代わりに、絶対、幸せになれよ。それが私の……」
そこで言葉が止まった。
ぱたりとカエティスの頭を抱いていた手が落ちる。
カエティスはゆっくりと起き上がる。
ぼろぼろと涙を流しながら、カエティスは絶叫した。
その声に反応したのか、消えたはずの黒い霧が現れた。
『見ツケタ。神ノ落トシ子……。私ノモノダ。お前ノ魔力ヲ奪イ、私ガ女神ヲ手ニ入レルノダ』
嗤う声が響き、カエティスはゆっくり立ち上がる。
「……そうは、させないよ」
地面に置いていた母の愛用の剣を手に取り、カエティスは黒い霧を見据える。
「……神の落とし子だか、何だか知らないけど、そんな身勝手な理由で、お母さんを死なせた罪は重いよ」
静かな怒りを目に宿し、カエティスは赤眼の剣を構える。
『赤眼ノ剣カ。無駄ダ。ソノ剣ハ赤イ目ノ者ニシカ応エナイ。残念ダッタナ』
黒い霧が赤眼の剣を構えるカエティスにせせら笑う。
『ソレニ最終的ニ母ヲ死ニ追イヤッタノハオ前ダ。神ノ落トシ子』
黒い霧の言葉に、カエティスは身を強張らせる。
「そんなことは百も承知だ」


