「……ごめんなさい、先生。ごめんなさい……」
手を握ったまま、カエティスは泣きながら謝る。
「お前が謝らなくていいよ。お前のせいじゃない。全部、あいつのせいだ」
赤眼の剣の効力で浄化され消えていく黒い霧を見つめながら、カリンは告げた。
完全に消えたのを確認して、カリンはカエティスを見つめた。
「……カイ。私が死んでも後を追おうとするなよ」
カリンの言葉に、カエティスは目を見開いた。
「……やっぱり考えてたか。それじゃあ、私が死ぬ意味がないだろ、阿呆」
カエティスの頭を掻き回し、カリンは息を吐いた。
同時に咳き込み、血を吐く。
カエティスは慌てて懐から布を取り出し、カリンの口の周りを綺麗に拭く。
「ありがとう、カイ。あのな、カイ。私を慕ってくれてるのはとても嬉しい。母親冥利に尽きるってもんだ。だけどな、それじゃあ、駄目なんだ」
「……どうして、駄目なんですか……」
大きな涙を溜め、カエティスはカリンを静かに見つめる。
「――お前は、次の命に何かを伝えるまでは死ぬ気で生きないといけない。だから、お前は生きなさい」
強く、優しい目でカリンはカエティスに告げた。


