「先生っ!!」
悲鳴に近い声で叫び、カエティスはカリンに駆け寄った。
「カイ、来るなっ!!」
怒鳴るように叫ぶカリンに驚いて、カエティスはびくりと身を強張らせ、足を止めた。
「……カイ、絶対に来るなよ。危ないから」
苦しそうに顔を顰め、カリンはカエティスに言う。
「でもっ!」
「お前には見えただろう? 私の中にあの得体の知れん黒い霧が入ったのを……」
カリンの問いに、カエティスは何も言えなかった。答えられなかった。
「なら、分かるだろう? あのオッサンもお前を求めて来た。私の中に勝手に入って来た奴もお前を何故か求めてる……お前に何をするのか分からない」
そこで一度、言葉を止め、カリンは笑った。
いつもの、自信に満ちた不敵な笑みを。
「……勝手に入って来たとは言え、流石に自分の息子に手を掛けるのは嫌だからな。だから、カイ。頼みがある」
「……えっ?」
苦しそうに顰めていた顔を抑えるように、カリンはカエティスを真っ直ぐに見つめる。
「――私を殺せ」
カリンの言葉に、カエティスは大きく目を見開いた。


