公爵の娘と墓守りの青年


「……そうか。お前がちゃんと見えてるなら私に何があっても大丈夫だな」

カリンの言葉に、俯いていたカエティスは弾かれたように育ての母を見上げた。

「先生?」

「カイ、お前はちょっと離れておけよ。おかーさんが、あのオッサンを完膚なきまでに打ちのめしてやるからなっ」

不敵な笑みを浮かべ、カリンは疾風の如くワルトとの間合いを詰めた。
愛用の剣から赤いオーラが残像のように直線を描く。

「何に囚われ、何に乗っ取られたのか知らないが、私の息子には指一本触れさせないからな、オッサンだった奴!」

カリンはそう叫び、愛用の剣を下から上へと振り上げる。
腕力と速さが相まって、ワルトがいつの間にか持っていた剣が砕ける。
そのまま、カリンはもう一度、下へ振り下ろす。
ワルトの身体が二つに分かれる。
血が、赤眼の剣が放つオーラに当たり、蒸発する。
二つに分かれたワルトの身体が地面に当たる。
そのまま、ワルトは動かなくなった。

「……来世では、ちゃんと全うに生きろよ、オッサン」

剣を小さく振り、カリンはワルトに向けて呟いた。
そして、ワルトに背を向け、カリンはカエティスの元に歩こうとした、その時だった。

「――っ?!」

胸に衝撃が襲い、カリンは口を押さえ、地面に膝をついた。
カリンの手から滑り落ち、赤眼の剣が渇いた音を立てる。