公爵の娘と墓守りの青年


不敵に笑い、カリンは言う。
赤眼の剣の長い柄を肩に置き、カリンはワルトを不敵な笑みのまま不審な目を向ける。

「だから言っているではないか。私は生まれ変わった、と」

両手を広げ、ワルトは恍惚とした顔で言う。

「その顔で高貴な存在、とか言うなよ。高貴な存在というのはな、顔に嫌味が出てないんだよ。私の知り合いの王様が正に高貴だよ。高貴とはかけ離れてるね、オッサンは」

そう返し、カリンはワルトに一歩、一歩とゆっくり近付いた。
そして、ワルトに剣が届く距離――間合いで止まり、カリンが口を開いたその時だった。

「カリン先生、危ないっ!」

声変わりがまた始まっていない澄んだ少年の声が響き、カリンの脇腹に衝撃が襲う。衝撃と共に倒されたカリンはすぐに跳ね起き、その正体を見つめた。

「――なっ、カイ! お前、どうしてここに……!」

「先生、あの人に近付かないでっ!」

慌てた様子で、カエティスはカリンの膝に乗ったまま叫んだ。

「……は? どうして、そんなこと言うんだ、カイ?」

「あの人の周りに黒い霧みたいなのがあるんです。それがさっき先生にくっつこうとしたから……」