公爵の娘と墓守りの青年


「あー、それはないない。例え、世界がひっくり返ってもないね。ウチの息子は良心がしっかりあるし、育ての両親も危ないオッサンには近付くなってしっかり言ってるからな」

「では、その世界をひっくり返そう。アイサリスの戦女神、お前の息子――神の落とし子を使って!」

「……は? カエティス君が神の落とし子? カーテリーズ、そうなのか?」

「まさか。私はあの子の本当の両親を知ってるが神じゃない。あのオッサン、何を勘違いしてるんだか」

肩を竦めて、カリンは残念な頭だな、と呟く。
そして、カリンは愛用の剣の先をワルトに向ける。

「ま、とにかく。私は早く息子の愛情たっぷりな夕食を食べたいんだよね。だから、早くかかって来いよ。返り討ちにしてやるから」

挑発も含めて、カリンはワルトに言う。
小屋の煙突からスープの良い匂いが鼻をくすぐり、腹がより一層、空だと主張する。

「ハハハ、そう焦るな。焦って何も良いことは起きないぞ、アイサリスの戦女神」

下卑た笑みを浮かべ、ワルトは右手を挙げた。
挙げたのと同時に、絶叫が背後から聞こえた。ベルナートの声だ。

「ベルっ?!」

ぎょっとして振り返ると、ベルナートが倒れていた。彼の周りを見ると、先程倒したはずの男達が手に新たな武器を持ち、立っていた。