公爵の娘と墓守りの青年


「私が無茶? ないない。アイサリスでもしたことがないって」

「そうだな。いつも無茶してるから分からないよな」

何度も頷き、ベルナートは錫杖を地面に刺す。

「変な納得の仕方をするのやめてくれないか、ベル」

ムッとした顔でカリンは不満を呟く。

「ははっ、君は本当に面白いなぁ。おっと、動いたぞ。カーテリーズ」

爽やかな笑みを浮かべた後、ベルナートは地面に刺した錫杖を抜き、構えた。
大分離れた位置にいた男達がこちらに向かって走って来る。
それを見つめ、カリンはやる気のない目で頭を緩く振る。

「はぁー、面倒臭いがやるか。相棒、今回は気絶な、気絶」

柄に軽く口付け、カリンは愛用の剣に言う。
それに応えるかのように赤いオーラがカリンを柔らかく包む。

「さぁ、美味しい夕食の為、とっとと終わらせるぞ」

足を広げ、腰を低く落とした体勢でカリンは愛用の剣を右手に持つ。そのまま、剣先を斜め下に向け、風のように駆けた。
男達もカリンの動きに応じようとそれぞれ武器を構える。

「へぇ、生気がない割にはやる気じゃん」

不敵な笑みを浮かべ、カリンは更に速度を上げる。