「あっはっはー。ベルってば、女々しいー。小さいことを根に持ってるな〜」
ニヤニヤと笑いながら、カリンはベルナートの背中をバシバシ叩く。
「……私が司祭ではなく、更には君が男だったら殴ってるところだぞ」
苦い顔をしてベルナートは呟く。
「残念だったな。まぁ、私が男で、殴られるとしてもベルの拳は避けられるけど」
避けられなかったら戦場で戦えないね、と付け加え、カリンは腰に掛けている愛用の赤い玉が嵌め込まれている剣の柄を握る。
「……赤眼の剣、か。ということは今回は珍しく本気を出す気かい? カーテリーズ」
カリンの腰に掛けてあるもう一振りの剣に目を向け、ベルナートは尋ねる。
こちらは銘のないただの鋼の剣だ。普段はこの剣を使う彼女だが、今回は何故か愛用の剣を使おうとしている。
それがベルナートの心に少しだけ、不安を掻き立たせた。
「……うーん、何というか、さっきから嫌な気配がするんだよな。ウチの自慢の息子の何かを知ってますって感じの嫌な気配。しかも、あわよくばその何かを利用しますって感じの」
「それはどういう意味だ? カエティス君には何か秘密があるのか?」


