公爵の娘と墓守りの青年


「だから、ひとまず逃げろと私は言いたいんだ。もし、この家を占領されても、君くらいの剣の腕なら取り返すのは余裕だろ」

「まぁ、大勢いても確かに楽勝だね。だったら、ここで迎え撃てば早いじゃん」

「迎え撃ってる間に、カエティス君が拐われたらどうするんだ」

「カイが拐われる? 寝言は寝てから言えよ。カイは自慢の弟子で、血の繋がりはないが自慢の息子だぞ。あの丸いオッサンの部下にカイが負けるか」

自慢げに言いながら、カリンはカエティスの頭を撫でる。
カリンに撫でられているカエティスも嬉しそうにはにかむ。

「待て待て待てっ。カエティス君は剣を握ったことがないだろ。勝てるというその自信は何処から出て来るんだ。カーテリーズ」

「剣を握ったことがなくても、木の枝や他の物とかで教えられるだろ。剣技以外のものもあるじゃん」

「いや、確かにそうだが……。剣技を教えているのか?」

「ふっ、秘密だ」

前髪を掻き上げ、カリンは口元に笑みを浮かべる。

「……本当に教えているのか?」

長い付き合いなのか、誤魔化しているように見えるカリンに目を細めてベルナートは疑うように聞く。