公爵の娘と墓守りの青年


「……カリン先生。ミシェイルをけしかけないで下さい。ちゃんと作りますから」

大きな溜め息を吐き、カエティスはドアを開けようと手を伸ばす。
その時、また背後から声が聞こえた。

「カーテリーズっ!」

「ん? 誰だ、人の名前を呼び捨てにした挙げ句、夕食を邪魔する奴は」

ムッとした様子で眉を寄せ、カリンは振り返った。
振り返ると、慌てた様子の金色の髪、緑色の目の司祭が立っていた。

「――って、何だ。ベルナートか。どうした? 恋人でも出来たか?」

「そんなことで君のところに慌てて行くかっ! いや、行くな。私の場合。うん。って、それどころではない! 今すぐカエティス君を連れて逃げろ、カリン」

「は? 何でカイを連れて逃げないといけないんだ? ベル」

腕を組んで、カリンは走って来たらしく肩で息をしているベルナートに聞く。

「ワルト伯爵がカエティス君目当てでここに来られるらしい」

「え、何だって? あの頭上が突風後の地面みたいな、とてつもなく同情というか哀れみを感じる、丸いオッサンが来るのか? しかも、ウチのカイを狙って?」

「何となく言いたいことは分かるが、その言い方はどうにか出来ないか」

「まぁ、いいじゃないか。聞いてるのはここにいる四人だけだし」