公爵の娘と墓守りの青年


爆発と煙で目を閉じていたイストは前を見て驚いた。

「……はぁ、間に合った。皆、怪我はない?」

シャベルを手に持ち、ところどころ金の色が混ざった赤い髪の墓守りは振り返り、尋ねた。

「俺達は大丈夫です。それより貴方の方が……」

代表してイストが答え、カイの格好を見て、言葉を詰まらせた。

「ん? ああ、このくらい、どうってことないよ。いつものことだし」

羽織っていた黒いマントが破れ、右腕から血が滲んでいることに気付き、カイはにこやかに言った。

「カイさん、あの人、闇の力を持ってます」

カイが来てくれたことで安堵したリフィーアは彼に伝える。

「あ、そっか。皆、さっき聞いたんだよね」

困ったように笑い、カイは真顔に戻した。

「――なら、この墓地から離れて」

「嫌ですっ」

ウェルシールとリフィーアが同時に即答した。

「僕はカイさんとお話がしたいんです」

「私もです」

「……二人共。ウィンベルク公爵の話をちゃんと聞いたのかい? イスト君、エルンスト君、二人をどうにか墓地から離してもらえないかな?」