黒い光から黒い光の玉に変わり、イスト目掛けていくつも飛んでくる。
「隊長が戻ってくるまで、粘るしかないよなぁ。こんなことになるなら、早めに使えるようにしておけば良かった」
ウェルシール達に聞こえないように小さく呟き、イストは黒い光の玉を躱す。
躱しながら、青年との距離を詰め、イストは剣を薙ぐ。
横を滑るように薙ぐイストの剣を、黒い光で壁を作って青年は防いだ。
「また防がれたか」
相手との距離を空け、イストは剣を構え直す。
「……小僧、そこを退け。小僧に用はない」
黒い光の玉を放ちながら、青年はイストに言った。
「あのさ、あんたに小僧って言われたくないな。そっちの身体、俺とあんまり年齢、変わらないんだからなっ」
ムッとしながら、黒い光の玉を避け、イストは青年の懐に入り、剣を下から上へ動かした。
それを待っていたかのように、黒い布から覗いて見える青年の口が吊り上がった。


