公爵の娘と墓守りの青年


「そりゃ、エル君。彼の足止めに決まってるでしょ。ただ、ちょっとヤバイんだよね」

剣を片手にイストは頬を掻いた。

「イスト兄さん、どういう意味です?」

眉を寄せて、エルンストはあまり困っていない表情の兄を見た。

「う〜ん。まぁ、俺には決め手がないってこと。だから、足止めしか出来ないんだよね、これが」

苦笑いを浮かべ、イストは弟に答えた。

「……それを笑って言わないで下さいよ、イスト兄さん」

大きな溜め息を吐き、エルンストは緩く首を振った。

「あはは。それじゃあ、行って来ますよ〜。エル、お二人をよろしく!」

腰を低くして剣を構えたイストは、ひたすらウェルシールとリフィーアを見つめている青年に向かって駆ける。
足を止めることなく、そのままの勢いで青年目掛けて剣を振るう。
青年はゆっくりとした動きで、イストの剣を避ける。それと同時に青年は黒い光を放つ。

「あー、やっぱり避けたか」

舌打ちをしながら、イストも黒い光を斜めに後退し、避ける。

「決め手がない分、こっちは難しいんだよな。う〜ん、どうしようか」

悩みつつもイストは、青年が放つ黒い光を避けていく。

「……浄化の力、持ってるけど、隊長がいないと使えないし……」