「え、あ、はい。大丈夫です。助けて下さって、ありがとうございます」
何度も頷き、リフィーアは微笑んだ。
「そうですか。良かった……」
安堵の息を洩らし、ウェルシールはリフィーアを襲おうとした相手に目を向ける。
イストとエルンストに阻まれ、頭から足まで黒い布を被った青年が小さく舌打ちをしている。
その様子を見ながら、ウェルシールはリフィーアに尋ねた。
「……リフィさん、あの人に何か見覚えはありますか?」
「い、いえ。知らない人です」
リフィーアはウェルシールの問い掛けに首を左右に振った。
ただ、気になることがあった。
少し離れた場所に立つ青年はリフィーアを見て、『ウィンベルク公爵家の血の気配』と言った。
つまり、彼も闇の力によって動かされている可能性がある。
それをウェルシールに言うべきかリフィーアは悩んだ。
言えば、叔父が自分の為に隠してくれていたことが無駄になる。
(でも、ウェル様は気付いているのかな。あの人が闇の力に動かされている人かもしれないって)
リフィーアの不安を少し払うかのように、イストがこちらに目を向けた。
「ウェル様、気を付けて下さい。彼は闇の力を持ってます」


