「……どうせ、駄目だと言っても行くのだろう? 『リフィがちゃんと話を聞いてくれない』とサイラードが拗ねていたぞ」
「えっ……と。と、とにかくカイさんのところへ行ってきますっ、叔父様!」
叔父の言葉に、拗ねる従兄の顔を想像してしまい、リフィーアは目を在らぬ方向へ動かし、誤魔化すように逃げた。
「気を付けて」
そんな部屋を出て行く姪の後ろ姿を見つめ、マティウスは苦笑しながら手を振った。
「……で。何でまたいないのよ」
頬を膨らませ、リフィーアはカイとビアンが住む小屋の近くの切株に座り、呟いた。
叔父から聞いた話と両親の話をカイにも聞いてみようと思ったのだが、まだカイ達はいなかった。
同じく少し前に会ったばかりのウェルシールや、ネレヴェーユ達もいないので、愚痴をこぼすことも出来ない。
リフィーアは更に頬を膨らませた。
「カイさん、もしかして、墓地の奥にいるのかなぁ。でも、私が行くのはまずいのよね、多分……」
リフィーアは眉を寄せ、膝の上で頬杖をつく。
その時、葉が擦れる音が聞こえた。
リフィーアは音がする方向に目を向けた。
背の低い木々の間に、見知らぬ青年が立っていた。
頭から足まで黒い布を被っている。


