公爵の娘と墓守りの青年


「――兄上は、貴方を父のように、兄のように……そして、友と思っていましたから。義姉上も、私も、妻もそうです」

マティウスの言葉に、カイは笑みを零す。

「嬉しいね、とっても。嬉しいけど、本題に入ろうか。マティウス君、君はどうしてここに来たんだい?」

笑みを消し、真剣な表情でカイは問い掛けた。

「……今、王都では姪のリフィーアとウェルシール陛下の婚約を、という話が上がってます」

「リフィーアちゃんとウェル君の婚約? 良いんじゃないかな? 似合ってると思うよ」

苦い表情を浮かべるマティウスに、カイは穏やかに微笑む。

「ウェルシール陛下なら、リフィーアを任せられる。私もそう思います。でも、違うのです。前に行なった会議で、普段なら反発するはずの貴族も賛成しました。何故だか分かりますか?」

理由を知っているだろう? と言いたげな問い掛けをマティウスはする。

「あのね、俺はずっとここにいて、城にはいないんだよ? 何故、と言われても……」

途中でカイは言葉を止めた。
少し驚いた表情でマティウスを見つめる。