公爵の娘と墓守りの青年


「墓守りさんと会えて嬉しかったんじゃないの、エル」

横で同じくニヤニヤと笑っているイストが言う。

「……そうなのですか、ウェル様」

「え、ううん。今日はカイさんに会えなかったよ。ただ……」

「ただ?」

イストとエルンストの兄弟が同時に尋ねた。

「良いお嬢さんに会えたんだ。城ではいないタイプの女性で……。でも、色々と苦労されてるお嬢さんで……」

そこで止まり、顔を赤くしてウェルシールは俯いた。

「なるほど〜。ウェル様、そのお嬢さんにほの字ですね〜?」

ニヤリと笑い、イストがウェルシールの腕を肘で突く。
突かれたウェルシールは更に顔を赤くするだけで、何も言わなかった。

「兄さん、ウェル様をそう苛めないで下さい。はい、ウェル様、そろそろウィンベルク公爵のお屋敷ですよ」

エルンストがそう言うと、ウェルシールは俯いていた顔を上げ、襟を正すように背筋を伸ばした。

「……流石に、公爵の前ではこんな状態はいけないからね」

苦笑いを浮かべ、ウェルシールは頬を掻いた。

「流石、ウェル様……! ウェル様の王様としての姿勢に俺、感動です」

そう言って、イストはウェルシールに抱き着いた。

「ちょ、ちょっとイスト……!」