公爵の娘と墓守りの青年


「ありがとうございます。あと、お願いがあるのですけど、僕のこと、ウェルと呼んで下さい。畏まれるのは苦手なので」

「ええっ?! いいのですか? あの、えっと……わ、分かりました、ウェル様」

笑顔のウェルシールに気圧され、リフィーアはウェルシールの愛称を呼んだ。
ウェルシールも満足したようで、満面の笑みを浮かべた。

「あの、ウェル様も私のこと、リフィと呼んで下さい」

自分より少し背の高いウェルシールを見上げ、リフィーアも提案する。

「交換条件ですね。分かりました。リフィさんと呼ばせて頂きますね」

ウェルシールは嬉しそうに頷き、リフィーアの愛称を呼ぶ。

「では、僕はこれで。また明日会えたら、お会いましょうね」

「はい! またお会いしましょう、ウェル様」

笑顔を浮かべ、リフィーアは墓地から離れていくウェルシールの後ろ姿を見送った。






「どうしたのですか、ウェル様。先程からニヤニヤして」

不思議そうに、エルンストは尋ねる。
墓地へ続く門の前に停めていた馬車に乗ってから様子がおかしいウェルシールをじっとエルンストは見つめる。