公爵の娘と墓守りの青年


「泥棒ですか。カイさんも大変なんですね。あ、リフィーアさんはご家族はいらっしゃいますか?」

「えっ、あ、はい。叔父の家族がいます。両親は亡くなっていないです」

突然、カイの話から自分の家族の話になり、リフィーアは目を何度も瞬かせた。

「ご両親、亡くなったのですか……?」

「はい。生まれてすぐに。だから、私自身はあまり覚えてないのですけど。でも、叔父の家族が近くにいて、とても優しくして下さってるので寂しくはないんです」

笑顔を作り、リフィーアは言った。
その笑顔を見たウェルシールは眉を下げ、リフィーアを心配そうに見つめる。

「……ただ、最近、叔父と従兄が私に父の仕事の後を継ぐようにって、言うんです。私には向いていない職業なんですけど……」

尚も笑顔を見せ、リフィーアは早口で言う。
ウェルシールは目を何度も瞬かせ、リフィーアの話を聞く。

「僕も、父の後を継いで王になりました。実を言うと、向いていないかな、とは思ってるんですよ。こう言ってしまうと、民や僕の周りの人達に怒られるんですけどね……」

苦笑いを浮かべ、ウェルシールはリフィーアの話に同調する。

「規模が違いますけど、ウェルシール陛下と一緒ですね」