公爵の娘と墓守りの青年


青年は申し訳なさそうな表情を浮かべ、リフィーアを見た。
青年の顔をまじまじと見て、リフィーアは目を見開いた。

「い、いえ。あ、あの……ウェルシール、陛下ですよね……?」

両手を口に当て、リフィーアは驚いて言葉を詰まらせる。

「はい、そうです。貴女は確か、前にカイさんと一緒にいらしてたお嬢さんですよね?」

にこにことウェルシールは微笑み、リフィーアを見つめる。

「は、はい。えっと、リフィーアと言います」

「リフィーアさんですか。よろしくお願いします。リフィーアさんはカエティスの都の生まれなのですか?」

ウェルシールの問いにリフィーアは頷いた。

「そうですか。いいですね。カイさんとお話が出来るんですよね」

「いえ、私、カイさんとお話をし始めたのは最近です」

「最近、なのですか?」

「はい。カイさん、夜起きてて、朝は寝てるみたいで……。なので、人前にも出ていないようで、私もカイさんを知ったのは最近なんです」

リフィーアの言葉に、ウェルシールは唸った。

「うーん……夜起きていて、朝は寝てるのですか……。どうして、カイさんは夜起きてるのですか?」

「泥棒さんとか怖い人が夜な夜な来るみたいで、その時間に合わせて起きてるみたいです」