『――トイウォース。僕の兄上と同じ名前を持つ現国王の従兄だよ』
「……会ったことはないけど、どうしてウェル君の従兄が死ぬんだい?」
ディオンの言葉に、カイは眉を寄せる。考える顔になり、両腕を組む。
カイを見て、言いにくそうにディオンは何度も口を開いては閉じた。
『アイツが……』
絞り出すように、ディオンは呟く。
彼のその続きの言葉に、カイは大きく目を見開いた。
「むぅ……何で、今日もカイさんもビアンさんもいないのよ」
口を膨らませて、リフィーアは呟いた。
カイとビアンが住む小屋の中を覗いたが、誰もいない。
昨日、彼等と一緒にいたネレヴェーユもエマイユもいない。
皆は何処へ行ったのだろうか。
「今日、元気だったらおいでって、カイさんが言ってたのに、どうしていないのよ」
「本当ですよね。カイさん、何処に行ったのでしょうね」
リフィーアに同調する青年の声が横から聞こえた。
「――っ?!」
リフィーアは驚いて、声が聞こえた方向に顔を向けて、距離を空ける。
「……あ。あの、すみません。驚かせてしまいましたか……?」


