公爵の娘と墓守りの青年


「いやいや、驚くよ。驚くなって言われても無理だよ。というか、君がずっと俺を見てたの?」

驚いたまま、カイはまじまじとディオンを見た。
尋ねられたディオンはにこやかに頷いた。

『うん。だって、神に頼まれちゃったんだもん。でも、ちょうど良かったよ。僕もカエティスが気になってたから』

「……神に頼まれちゃったんだ。ごめんね。巻き込んじゃって」

申し訳なさそうに頭を下げ、カイはディオンを見た。

『ううん。仕方ないよ。元を辿ればカエティスのせいじゃないし。本当は墓守りの役目、兄上がするはずだったんだから』

ディオンは苦笑しながら、肩を竦めた。

「えーっと、どうして、君が知ってるのかな、ディオン」

『墓守りの役目を本当は兄上がするはずだったこと? それはちょうど聞いちゃったんだよ。カエティスと神が話しているところ。兄上はそのことを知らないけど』

明るい笑みを零し、ディオンはカイが住む小屋に目を向ける。

『それは置いといて。とにかく、王族が死ぬよ。カエティス、早く止めないと大変なことになるよ』

顔をカイに戻し、ディオンは真剣な面持ちで告げた。

「王族? 一体、誰がだい?」