少し引きつった表情でエマイユは問う。
問われたカイとビアンは顔を見合わせた。

「ないよな、ビアン」

「ああ、ないな」

「あるとしたら、栽培くらいだよな」

うんうんと相棒と頷き合いながら、カイは答えた。

「……何か、カエティスが五百年前の時よりも自分に無頓着になってる……。ネレヴェーユ様、どうしましょう……」

前世での親友が心配になったエマイユは彼の恋人に聞いてみる。

「そうですね……。一番はここから出ることだと思うのですけど、カエティスが出てしまうと折角の結界が解かれてしまいますし……。現地調達がどのようなものかは分かりませんが、男性らしくていいのではありませんか?」

にこにこと笑みを浮かべ、ネレヴェーユは答えた。その言葉に、エマイユはがっくりとうな垂れた。

「ネレヴェーユ様……。貴女も結構、暢気な方ですよね……。それとも、私の方がおかしいのかな」

小さく溜め息を洩らし、エマイユは地面に置いていた鞄を持つ。

「しょうがない。ちょっと、私が買い物に行ってきます。イスト、君は荷物持ちだから、ついて来い」

王のような命令口調でエマイユはイストを呼ぶ。