公爵の娘と墓守りの青年


「ありがとうございます! 隊長、夜は久々にアレやりましょう!」

まるで子供のようにキラキラと目を輝かせ、イストはカイに提案する。

「えぇっー?! 俺、墓守りになってから、シャベルはあるけど、全く剣を握ってないんだけど」

「シャベルを握っているなら大丈夫ですよ。俺、ずっとやりたかったんです。隊長と手合わせ」

「いいねー。私もやりたいなぁ。手合わせ」

イストの言葉に賛同して、エマイユも目を輝かせた。

「……あのね、エマイユちゃんにも昔言ったけど、君達はミシェイルでもトーイでもないんだよ。今はイスト君とエマイユちゃんなんだから、二人は今の生を生きないと。前の生に囚われて欲しくないな」

真剣な面持ちで、カイはイストとエマイユを見つめる。

「別に囚われてないよ。トーイと同じ魂だけど、残念なことに魔力はあっても『神の言葉』をちゃんと喋れないし、小さいしね」

鼻から小さく息を吐き、エマイユは続けた。

「トーイと似ていないところもたくさんある。考え方や生き方も違うところがあるよ。だから、別に囚われてるわけじゃなくて、前の生の経験を活かして生きてるだけだから、そんなに心配しなくていいよ」