公爵の娘と墓守りの青年


「ネリー……君もかい?」

手を挙げて主張するネレヴェーユにカイは苦笑した。

「だって、貴方がここの墓守りになってからの家には泊まったことがないもの。前の家にはあるけれど」

だから、泊まりたいの。と目で伝え、ネレヴェーユは上目遣いに恋人を見た。

「……いいよ。俺とビアンは外に寝る決定だけど」

観念したカイはうな垂れながら頷き、近くに立つ相棒をちらりと見る。

「……そうだな。流石の俺も女と同じ部屋では眠れないな」

息を吐き、ビアンもカイの言葉を承諾する。

「あっ、じゃあ、俺もいいですか? 隊長」

イストも手を挙げ、主張する。

「イスト君はウェル君と弟君が待ってるから駄目だよ」

「いえ、それが明日、ウェル様はウィンベルク公爵にお会いになる予定があって、明日の朝にカエティスの都に到着予定なんです。なので、俺はその手配に早く乗り込んだけなので、明日の朝まで空いてます」

だから、俺も入れて下さい。と言いたげな目で、イストは胸の前で両手を合わせてカイにお願いをする。

「……仕方ないなぁ。分かったよ。いいよ、イスト君も」

本当に仕方なさそうに、カイは了承し、息を吐いた。