公爵の娘と墓守りの青年


黙って聞いていたネレヴェーユがビアンを見た。
恋人が食べられずに済んだことに安堵したのか、にこにこと笑みを浮かべる。

「ああ。そうだ。だが、相棒というのを利用して、俺を使い走りにするけどな」

不満なのか、むすっとした顔でビアンは頷いた。

「俺、使い走りにした覚えは全くないんだけど」

困ったような、呆れたような声が聞こえた。カイの声だ。

「カエティス、お帰りなさい。お話、終わったの?」

カイが戻ってきて嬉しいのか、ネレヴェーユは極上の笑みを浮かべ、彼を見上げた。

「ただいま、ネリー。うん、こっちの話はね。そちらはどうだい? 終わった?」

「う〜ん、まぁ、大体ね。本当はもうちょっと聞きたいことがあったけど、今度聞くよ。で、カイ。今日、君の小屋に泊まってもいいかな?」

「へ? 何でまた俺達の小屋に……」

「君と話をすることで頭がいっぱいになってて、宿を取るのを忘れてた」

あはは〜と笑いながら、エマイユは頭を掻いた。

「……はぁ。分かったよ。いいよ、泊まっても」

観念したようにカイは頷き、了承した。

「あ、私も泊まってみたい!」