公爵の娘と墓守りの青年


門へと歩いていくカイとリフィーアの後ろ姿を見つめ、エマイユはいたずらを思い付いたような笑みを浮かべる。

「……エマイユさん、あまりカエティスをいじめないで下さいね」

苦笑いを浮かべ、ネレヴェーユは呟いた。

「分かってますよ、ネレヴェーユ様。私もそこまで非道ではありませんよ。それにしても、カエティスは本当に今も昔も変わらないですね」

懐かしそうにエマイユは目を細め、カイとリフィーアが歩いた方向を見つめる。

「そうですね。人は、変わるのに……。なのに、あの人は変わらないでいてくれた。私を忘れないでいてくれた。あんなにひどいことをしたのに変わらず笑ってくれた。そのことがとても嬉しいです」

今にも泣きそうなくらい目を潤ませて、ネレヴェーユは言った。

「その言葉、本人に言ってあげて下さい。きっと喜びますよ」

「でも、言っていいのでしょうか? 私、本当にひどいことをしたのですよ? カエティスにも、トーイにも、国の人々にも。この国を守護をする女神なのに」

俯きながら、ネレヴェーユはぽつりぽつりと呟くように言った。