公爵の娘と墓守りの青年


「……ネリー、紹介するよ。この子はエマイユちゃん。旅の占い師だよ」

自分の左の二の腕を突く少女――エマイユを横目で見ながら、カイはネレヴェーユに紹介する。

「え、ちょっとカエティスさん。私の話はさらりと無視ですか」

「エマイユさんですか。私はネリーです。よろしくお願いします。エマイユさんは旅の占い師なんですか?」

「二人共しっかり無視ですか……。えぇ、そうです。旅の占い師です。ネレヴェーユ様」

諦めたようにエマイユは頷き、ネレヴェーユに微笑んだ。

「えっ、あ、あの。どうして、私の名前やカイの本名をご存知なのですか?」

目をぱちくりと瞬かせ、ネレヴェーユはまじまじとエマイユを見た。

「……本当にカエティスから聞いてないのですね。ちょっと、ちゃんと話しておいてよ、カエティス」

「えーっとね、エマイユちゃん。俺、何度も言ったよね? ネリーだけとはいえ、人前で俺のことをカエティスって呼ばないようにって」

目を細め、珍しく冷気を帯びているような笑みをカイは浮かべた。それを見たネレヴェーユは何かを感じ取ったのか、少しだけ彼から離れた。

「あはは……もしかして、怒っていらっしゃる?」

「じゃないと言わないよね?」

尚も目を細めてカイは笑う。だが、目は笑っていなかった。