公爵の娘と墓守りの青年

カイがいないことに気付き、周囲を見回しながらリフィーアは尋ねた。

「お前が寝ていたから、気を遣って小屋の外にいる」

「え、外……ですか? でも、怖い人達がいますよね?」

「そいつ等ならカイが追い返した。今いるのはあいつの恋人だ」

「良かった……。あ、ネリーさんがいらっしゃるんですか?」

心底安心した声音でリフィーアが尋ねると、ビアンは頷いた。

「それなら、行かない方がいいですよね」

「あいつ等は何とも思わないから、気を遣わずに行けばいいだろう。どうせ、恋人に怒られているだろうからな。それにお前が行って話せばカイも助かるんじゃないのか?」

墓守りの相棒の物言いにリフィーアは苦笑した。

「そうですね。じゃあ、ちょっとカイさんのところに行ってきます」

リフィーアはベッドから立ち上がり、ドアノブに手をかけながら言った。

「そうしてやってくれ」

リフィーアの言葉に頷き、ビアンは窓の外に目を向けた。
カイ達の様子を見る気満々のビアンを見て、リフィーアは口元に笑みをこぼしながら部屋を出た。




「カエティスの……ばかばかばか……!」

泣きそうな声で、ネレヴェーユはカイの腕を叩いた。