そして、夏休みがやってきた。

 朝、マロンの散歩をしようと、外に出ると家の前に悠真がいた。

「えっ? なんでいるの?」

「体力錬成」

 真顔で答える悠真。
 いつもの散歩の光景に彼がいるのが、少し不思議な気分。

 とりあえず、いつもの散歩コースを歩こうかな?

「夏休み、結愛はいつも何してるの?」
「うーん、部活行ったり、後はのんびりしてるかなぁ」
「じゃあ、どこかに行かね?」
「どこ?」
「いいか? 行くぞ!」
「う、うん……」

 最近、悠真は強引だなぁ。
 今も私の質問無視して。

 彼は、告白した日からキャラが突然変わったかのように本当に積極的。


 でも、なんだろう。
 そういうの、嫌いじゃないかも。

 横に並んでゆっくり歩く。

 悠真、いつの間にか身長、伸びたなぁ。

 私は今、150センチ。頭一個分ぐらい、それ以上高いなぁ。

 小さい頃を思い出す。

 小学生になるかならないかの頃、悠真の方が小さくて、頭を何回もぽんぽんした記憶がある。

 じっと見ていた私の視線に気がついた悠真がこっちを見た。

「どうした?」

「ううん。何でもないよ。悠真、身長伸びたなぁって思って」

「最近特に伸びたわ! 中学入った時、制服ブカブカだったのに最近ぴったりだし」

「そういえば、そうだね! てかね、昔は悠真の方が小さくて、頭のテッペン見えたらぽんぽんしたくなって、してたのになぁ。今はもう見えない」

 背伸びをしてみたけれど、全く頭のてっぺんが見えない。

「こうか?」

 悠真が私の頭を撫でてきた。

 彼は突然予想外なことをしてきて、私はドキッとした。