学校の近くになると、学校の敷地内で咲いている綺麗な桜たちが見えてくる。

 ちょうど今は満開の季節!

 この桜たちは、私が入学式の時、優しく迎えてくれて、微笑んでくれた。

 今も、ほわっとした気持ちになって、緊張が少しだけほぐれた。

 大好き桜!

 今日も、これから新しいクラスの発表にドキドキする私を見て、大丈夫だよ!って言ってくれている気がする。

 ちなみに制服もチェック柄の少しくすんだピンクのセーラーでお気に入り。

 この季節は大好きなピンク色な世界。

 玄関前が混んでいる様子だった。なぜなら、クラス発表の大きな紙が張り出されているから。

 五組まであり、わたしは端から順番に探す。

 一組……ない。
 二組……ないなぁ。
 三組……あった!

「綾野、今年も同じクラスだな。良かったわ」

 悠真は隣に来てそう呟くと、新しい場所にある靴箱を探して靴を置き、教室に向かって行った。あの辺りが三組の靴箱か。と確認したあと、再びクラス発表の紙に目をやり、彼の名前も確認する。

 あっ、本当だ! 
 悠真の名前を見つけた。

 今年も同じクラスかぁ。

 自分の口角が自然と上がるのが分かった。最近あんまり話していないけれど、同じクラスなのがなんだかほっとする。

 一年前を思い出す。

 入学式の日。その日も、同じような感じで、クラスを確認していた。悠真の名前を見つけて、悠真の方を見ると、ばっちり目が合ったのに、彼はすぐに目をそらして、何も言わずにそそくさと中に入っていった。

 やっぱり去年とは私に対しての態度が違う。今「良かった」なんて言っていたし。しかも彼、にやっとした気がした。

 普段は無表情なのに。

 いつから変わったんだろう。去年の冬ぐらいからかな?