今日から中学二年生!

 新しい教室、新しいクラスメイト。
 どんな感じになるのかなって考えていたら、眠れなかった。

「緊張する。楽しく過ごせそうだといいな!」

 心がいっぱいソワソワした。

 ひとりごとを呟きながら、玄関のドアを開ける。
 外に出た瞬間、昨日とは全く違う、新しい風がするりと私の横を通り過ぎていく気がした。

 五分ぐらいまっすぐ歩いて、右に曲がると、幼なじみの瀬川悠真が前を歩いている。いつもの光景。

 彼は何を考えているのか、よく分からなかった。話しかけるなオーラ?みたいのが出ていて、学校では特に話しかけづらかった。

 悠真とは同じ保育園で、その時からずっと母親同士の仲が良くて、彼は片親で、彼のお母さんが仕事で遅い日は私の家で夜ご飯を一緒に食べたりもしていた。大きくなると、悠真はひとりでご飯の準備が出来るようになって、それもなくなった。

 彼の背中を眺めていると、タイミングよく後ろを振り向いてきて、目が合う。

「あっ、悠真おはよう!」
「おはよう」

 声をかけると、ぶっきらぼうな感じの低めな声で彼は返事をしてきた。いつもテンション低いけれど、朝に弱いらしく、特にこの時間はもっとテンションが低め。 

 このテンションの低さと、クールな見た目のカッコよさで、女の子たちに昔からモテている。

 たしか、小学四年生くらい?までは、並んで一緒に登校していた。けれど、私と並んで歩くのが嫌になったのか、彼は、私を置いてそそくさとひとりで登校してしまうようになっていった。

 朝、悠真の後ろを歩いていても、気がついて振り向いてくれることはなかったのに、最近は二メートルくらい?の距離まで近づくと、彼は毎回後ろを振り向いてくれるようになった。

 そして、今、振り向いた彼は突然言った。

「もっと自分の気持ちを、周りに伝えて!」

 急にそんなことを言うのが謎だった。
 強く心に引っかかる。

 ――悠真は最近、どうしたの?