外に出ると、タクシーが来ていて、ふたりと一匹は乗った。

「すみません! この場所までお願いします!」

 運転手にスマートフォンを見せている悠真。

「ねぇ、どういうこと? どこに行くの?」
「ずっと昔から結愛に見せたかった景色があるんだ!」

 いきなり連れていかれる。
 なんだろう、この状況。

 多分、悠真じゃなかったらついて行かないな。

 だって、彼はそんなことをしないタイプだったから。きっと、何か理由があるんだと思う。

 タクシーの運転手さんがたまに話をしたぐらいで、ほぼ無音のまま車は走り、どこか分からない場所に着いた。

 タクシーを降りる。

「この奥だ……。すみません! そんなに時間がかからないと思うので、ここで待っててもらっても良いですか?」

 タクシーの運転手にそうお願いをした悠真は「おいで!」と私に手招きをしてきた。