クリスマスイブの日の夜、二階の自分の部屋で本を読んでいると、不思議なメールが突然来た。

『初めまして! 過去の結愛です。今あなたは、何をしていますか? 横には誰がいますか? 私は今、幸せです!』

 何これ……怖い!

 そして、家のチャイムがなった。
 
 こんな時間に誰だろう。
 メールとの相乗効果で怖さが増す。
 
 こっそりカーテンの隙間から、外を覗いたけれど、誰なのか見えなくてよく分からない。
 
 もう一度チャイムがなる。

 階段を下りて、リビングにあるインターホンのカメラでそっと確認してみた。

 えっ? 悠真とマロン??

 急いで玄関のドアを開けた。

「ひ、久しぶり」

 緊張した雰囲気の悠真。

「久しぶり……ってか、どうしたの?」
「いや、なんか、会いたくなって」
「えっ?」
「寒いでしょ? とりあえず上がって」
「あ、ありがとう」

 そわそわしながら玄関に入ってきた悠真。

 悠真は中学の時よりも大人になっていて、カッコよくなっていた。

 久しぶりに会ったマロンもますます美人になっていて。

 抱っこさせてもらう。

「可愛い! 会えてすごく嬉しいよ!」

 ギュッとしてマロンの匂いをかいだ。
 犬の匂いというかマロンの匂い、好きだな。

 マロンを膝に乗せて床に座った。
 毛並みを整えるように彼女をなでながら、私は悠真に聞いた。

「ねぇ、悠真、本当にどうしたの?」

 私が質問した瞬間、悠真のスマートフォンの音が鳴る。

「ちょっと待って!」

 悠真が質問に答えずに画面を見る。

「よし! 行くぞ! 暖かい格好してきて」
「はっ?」

 突然何?

 全く意味も分からないまま私は急いで準備をして、家を出た。