“学校さぼってクリアできていないゲームを絶対クリアする”

“漫画の最終回が気になるから、出版社にネタバレを聞く”

“ダイエット止めて、ケーキ食べまくる”





わかるわかる。自分の欲望のままに生きようって思うよね。

そんな風に思っていたら、そこはお年頃の中学生。





“好きな人に告白したい”





何人かが記載しているその言葉に、私は小さくため息をついた。

と同時に、後ろから同僚の先生から声を掛けられた。





「何ですか、それ」

「今日のホームルームで、急に明日世界が終わるとしたら何をするって話になって。何気なく書いてみる? って言ったら生徒が書いてくれたんですよ」

「へぇ。色々書いてあるんですね」

感心しながら、彼はペラペラと紙をめくっていく。

「ところで、先生は何をするんですか?」

……それを今、私に聞かないで。

ずっと勇気がなくて、あなたに気持ちを伝えられない私に。

「……そういう先生は?」

「僕ですか? そうだなあ」

顎に手を置いて数秒悩んだ後、彼はまぶしいくらいの笑顔を私に向けた。

「あなたを食事に誘います」