「…っ!なんでそう杏を絡めたがるんだよ。
選択肢として並べる2つじゃねーだろ」
「私の話聞いてた?
浬くんがツマラナイ曲ばっかり作るようになったことと、この子との関係性を散々説明したと思うんだけど?両方ともなんて、そんな甘さは捨てて」
「そんな簡単なもんじゃねーよ」
どしゃ降りのように降ってくる情報や感情をたっぷりと全身で浴びて、頭も身体も重い。今になって明かされた多くのことを認めたくなんかない。
本当は、泣き叫びたいくらいに感情がぐちゃぐちゃで。
言いたいこと、聞きたいこと、怒りたいこと、謝りたいことがとめどなく溢れてくる。
それでも私は、告げなきゃいけないたったひとつの言葉をわかっていて、それ以外の言葉を口にする選択肢がないことも、ちゃんとわかってる。
「簡単だよ、浬」
「…っ、は?」
「もう、浬と私は会わない。
浬は、この人と革命を起こすの。
それは決定事項だよ」



