蛍光灯の明かりが透明なファイルの表面に反射して文字までは見えないけど、ここからここまでと、示された範囲は、分厚い。
それは、たった1人に向けて書かれたという、歌詞の厚さで。
彼女が言うこの子、は、私しかいないということも。
私に向けて、浬が、たった1年半で、2.3cmにもなる言葉たちを書き溜めていたということも、瞬時に理解できた。
…同時に、悟ってしまった。
少し前に彼女が言った、浬がツマラナクなった、というのは楽曲制作のことで。
浬が、音楽の表舞台から降りたのも、自分の曲を出さなくなったのも、歌わなくなったのも、全て、私のせいだったということを。
「…だからもう、今日こそは選んで。
この子と平凡な毎日を歩いていくのか、その才能で、私と一緒に革命を起こすのか」



