【梨愛side】


最近、タタに借りができてしまった。




梨愛は借りを作るのが嫌いだから、早急に借りを返したいんだけど………




どうすればいいの?




なにかプレゼントするとか?




でもタタ喜ぶかな。




梨愛から貰ったものなんか……ううん、梨愛は世界一可愛いんだから貰って嬉しくないはずない!!




でも……何にしようかな、プレゼント。




あ。




梨愛の頭には1人の人物が浮かんだ。




「純麗!相談がある!」




そう、純麗。




純麗は面倒見がいいから、相談相手にはもってこいの人物。




ちなみにここはバルコニー。




「梨愛ね、タタにプレゼント上げたいの!!何あげたらいいと思う!?」




「……ん?ん?ん!?ちょっと待って、梨愛に私の知らない新しい友達!?タタって誰のこと!?」




あ、言ってなかった。




「タタは、清美の事だよ。」




「………え、清美くん!?ちょ、何があったの!!」




純麗の勢いに押されて、あの日の保健室のことを話した。




「……そんなことが……」




まあびっくりすると思うけど………助けてもらったからね。




プレゼントくらいは。




「ねっ、何がいいと思う?」




「うーん、そうね……どうせなら普段使いできるものとかの方がいいわよね………香水とかどう?」




香水か……いいかも。




「ありがとう純麗!!私香水プレゼントする!」




「ええ、きっと喜んでくれるわ。」




そうと決まったら行動は早く!!




梨愛は学校が終わったら直ぐに車を呼び、香水専門店へ急いだ。




「到着!!」




……したものの。




香水の種類多すぎない?




店内には壁や机一面に香水がぎっしり。




うーん、どれがいいかな。




困っていると、店員さんが声をかけてくれた。




「どのような商品をお探しですか?」




その店員さんは、まだ若くて感じの良さそうなイケメン店員だった。




「あ、えと……プレゼントに香水を渡そうと思ってて。」




「なるほど。御相手の方は女性で?」




「いえ、男性です。」




すると、その店員さんは梨愛の着ている制服をチラッとみて、梨愛への質問を続けた。




「ではその男性にはどういったイメージをお持ちですか?例えば、クールだとか明るいだとか。」




イメージ、か……




タタは……優しめ?




「優しいです。あ、お兄さんみたいな優しい雰囲気です!!」




そう言うと少しだけ目を見開く店員さん。




梨愛、何か変なこと言った?




「ありがとうございます。では、そう言った方ですとこの辺のブースになるかと。」




そう言って紹介されたコーナーには、甘い系の香りが多いみたいだった。




じゃあここから選ぼうかな。




「ありがとうございます!決まったらお会計お願いします!!」




「はい。」




そして30分程たち、水色のケースに入った香水に決めた。




喜んでくれるかなっ。




梨愛はプレゼントをすることが滅多にないため、内心相手の喜ぶ顔を想像して舞い上がっていた。




あ、さっきのお兄さん。




「お会計お願いします!」




「はい。」




そして会計が終わった。




「お兄さん、今日はありがとうございました!!」




「いいえ、喜んでいただけるといいですね。」




「はい!」




すると、お兄さんが急に耳元に顔を近ずけてきて。




「じゃあ、またね。」




っ……?




またね?ってどういうこと?




あ、またのご来店を……みたいな?




「お嬢様!そろそろお帰りになられた方がいいかと……」




執事にそう言われてハッとする。




今日、親戚とお茶会あるんだったっけ。




そうして梨愛は店を出た。




後ろをチラッと見ると、さっきのお兄さんがニコッと笑顔を浮かべていた。




さっきの……なんだったんだろう?




まあ、いいか。




そう思いながら、梨愛はプレゼント用に包装された香水を握りしめ、車に乗った。





次の日。




今日……いつ渡そうかな。




教室行っても目立つし……あ、屋上行ったら会えるかも!




前の1回だけだけど、なせかそこにタタがいそうな気がした。




昼休憩になり、梨愛は早速屋上に向かった。




「………あ!」




本当にいた。




前と同じベンチに座って、音楽を聴いているみたいだった。




「タタ!」




「お、リアちゃん!!リアちゃんから来てくれて嬉しい!」




別に、借り返しに来ただけだし。




「ん。梨愛からのプレゼントなんだから、有難く受け取ってよね。」




「え、何!?プレゼント!?」




「借り返しに来ただけだから!」




「あ、なるほど。別にいいのに。でも嬉しい!!開けてみてもいい?」




「……別にいいけど。」




本当に嬉しそうな顔をして、包装をといていく。




「香水?嬉しいなあ。僕、これからずっとつけてくるよ!」




っ……喜んでくれた……




「勝手にすれば。」




嬉しいのに、なぜか強く当たってしまう。




素直に………なれない。




すると。




「あ、いた。昨日ぶりだね、僕のお姫様。香水喜んでもらえた?」




急に声がしたと思ったら、そこにいたのは昨日のイケメン店員さんだった。




「……え、なんでここに……」




梨愛の学園生活は、どうやら普通じゃ無いみたい。