【梨愛side】


ドッジボールかぁ。
梨愛球技好きじゃない。
でも……しょうがない。
そしてみんなが自陣のコートに移動する。
｢チッ｣
え？
今、クラスの女子が梨愛に舌打ちした？
………気のせいかな？
ま、いいか。
｢ピーー!!｣
笛の音を合図にボールが飛び交い始める。
｢オラァっ｣
すると、1人の男子生徒が梨愛のことを狙ってき
た。
｢キャッ………｣
怖い!!女子相手なんだから少しは手加減してよ!!
間一髪で避け切り安心………とはいかなかっ
た。
ギュゥゥ。
｢痛っ……｣
次は自陣の女子生徒が梨愛の足を踏みつけてき
た。
何!?やめてよ！
そんな思いを込め女子生徒の方を振り返ると、
耳元に顔が近づいてきて。
｢あんたさ、清美様の何なの？さっき、清美様が
あんたの名前呼んでたんだよ。｣
す、清美!?知らないよ!!
｢し、知らないっ……｣
そう言った瞬間、敵チームからボールが飛んで
きて、渋々コート端に行った女子生徒。
安心するのもつかの間、また別の女子生徒が足
を踏んできた。
もうっ、何なのよ!!
痛い………っ
するとまた敵チームからボールが飛んできて梨
愛から離れていく女子生徒。
すると梨愛が敵の的になった。
そのボールは足元を狙っていて。
ジャンプして避けようにも、足が痛くて歩くこ
とも出来ない。
トドメを刺すようにボールは梨愛の足に直撃。
もう無理っ………
痛さに顔を歪めながらその場に崩れる。
｢梨愛!?｣
すると、純麗が心配そうな顔を浮かべてこちら
に走ってきた。
｢すみません!!ちょっと中断してください!!梨愛、
大丈夫!?｣
純麗……優しいなあ。
心配かけないようにしないと。
そうして立ち上がろうとするも、やっぱり痛く
て断念してしまう。
｢梨愛……足痛めてるの？｣
｢だい、じょうぶ……だから……｣
｢大丈夫じゃないでしょう!?えっと……保険
室！でも梨愛歩けないし……｣
純麗を困らせている事に申し訳なくなる梨愛。
誰か……清美っ……
そう助けを求めると、女子が大きな声を上げ
て。
え……あれ、は……清美？
そこで梨愛の意識は途切れた。