ワケありイジワル王子はツンデレ姫様を溺愛したい。

【梨愛side】


2年後。




「………梨愛、綺麗だ。」




そう言っているタキシード姿の拓也も、いつにも増してかっこいい。




今日は、2人とも18歳を迎え結婚式当日だ。




ママなんて、まだ式始まっていないのにもう号泣。




「もうっ、ちょっとママ〜」




「……グスンっ、だって〜……」




ママもパパにも、凄く感謝してる。




梨愛の幸せのためならと、結婚を許してくれた。




そんなママやパパに、いつか梨愛もなれるかな。




今日の式には、純麗や亮も来てくれている。




見て欲しかったから。




梨愛の今を。




「そろそろお時間でーす。」




そして、梨愛と拓也は歩き出す。




「ーー、ーー、愛する事を、誓いますか?」




永遠の愛を、幸せを、誓います。




「誓いますっ」




梨愛と拓也は、今までで1番幸せなこの一瞬にキスを交わした。





「梨愛、おいで。」




そう呼ばれ梨愛が座るのは、梨愛と拓也が一緒に暮らしている家のソファー。




梨愛は、この家が好き。




梨愛と拓也の、幸せな空間。




「手、出して。」




どうしたんだろう?




すると、右手の指輪を外して。




「え!何で外した……それって……」




理由を聞こうとした梨愛を止めるには、それだけで十分だった。




拓也は、ケースから新たな指輪を取り出した。




まさか、これ………ピンクダイヤモンド?




自分の目を疑う。




そして、今度は左手の薬指にはめて、拓也は指輪に口付けする。




!!




「梨愛、俺と結婚してくれてありがとう。」




「っ………ううん、お礼なんかいらない。梨愛は、拓也に望みを叶えてもらったの。だから、お礼は梨愛から言わせて。拓也、梨愛に告白してくれて、出会ってくれて、ありがとう。」




この出会いは、奇跡から生まれた。




出会いだけじゃなくて、愛だって、幸だって、この温もりだって、拓也という名の奇跡から生まれたもの。




感謝してもしきれない。




「梨愛の自慢の旦那さん………」




「俺も、梨愛が1番だ。」




感動の雰囲気……なんだけど。




「ねえ拓也、この宝石って……」




「ああ、梨愛の思っている通りだ。」




それを聞くなり、左手が重く感じた。




ピンクダイヤモンドって、確かすっごく希少なもの何だよね。




梨愛の付けてる指輪………相当高いよね。




なんだか、恐怖すら感じてしまう。




でもやっぱり、幸せの方が勝っちゃうかな。




梨愛の瞳と同じ色のダイヤモンド。




そしてそれ以前に、拓也が選んでくれた指輪。




薬指を見ると、顔がにやけてしまう。




すると。




「梨愛、あまり俺を困らせないでくれ……」




「あ……梨愛何かいけない事言っちゃった?ごめんなさい……。」




「そうじゃない。」




梨愛の謝罪を聞くなり、すぐに否定をする拓也。




何だか……今までもこんなやり取り何回かあったような?




「梨愛、その指輪、気に入ったか?」




それはもちろん。




「すっごく!」




すると、拓也はフッと笑いをこぼして。




「なら良かった。」




梨愛……今、すごい話逸らされた気がするんだけど……。




それでも、今こうして2人でいられる事がどれだけ幸せか、梨愛は理解しているつもり。




結婚式だって、一般的に見たら早い方だから、周りからの不安の声も多い。




だけど、梨愛はそんな声に押されるほど弱くないから。




強くなれたのも、拓也のおかげ。




「拓也」




「ん?」




「これから、たくさん思い出作っていこうね!」




梨愛が微笑むと、拓也も笑い返してくれた。




そして自分の手を梨愛の頬にあてた。




っ……慣れないなぁ。




「ああ、梨愛が嫌って言うくらいたくさんな。」




たくさん!?楽しすぎて逆に疲れちゃいそうだけど……。




「梨愛が、拓也との時間で退屈な時なんて無いよっ」




こんな事を言っている自分が恥ずかしい。




それでも言うのは、拓也だからだけど。




「梨愛、そう言うのを言ってるんだ。可愛いすぎる。あまりにそうだと心配になってくる。」




「っ………!」




思い出が、また1つ増えた瞬間だった。





更に2年後。




梨愛達は社会人になった。




亮は親子で家の会社を運営しており、純麗は幼なじみと結婚し、もう既に家を継いでいる。




そして同時にカウンセラーもしている。




梨愛、純麗に向いてるってアドバイスはしたけど……まさか本当になるとは思わなかった。




でも、純麗は忙しいながらも毎日楽しそうだった。




新婚生活も楽しんでいる様子。




一方の梨愛と拓也は。




拓也は家を継ぎ、梨愛は社長夫人として拓也のお手伝いをしている。




梨愛の家の桃瀬フランは、まだパパとママが頑張っている。




梨愛にも純麗の気持ちはよく分かる。




忙しいけど、毎日が幸せに満ちている。




そんな中、拓也はいつもスーツ姿で、梨愛は時々見惚れてしまって仕事に集中出来ない事がある。




梨愛の悪いところ。




でも……拓也かっこいいんだもん!




取引相手との話し合いでも、年上相手に負けず劣らずで、改めて惚れ直してしまった。




会社は上手くいっているけど、やっぱり拓也は社長と言うだけあって、ここ最近疲れている様子。




だから、梨愛がコーヒーを入れてあげる。




それはもちろん、梨愛と拓也のお家。




ここでも、2年で多くの思い出が出来た。




例えば梨愛がご飯を作ろうとした時。




久しぶりで、包丁を使った時にちょっと指切っちゃったんだよね。




その時は拓也が凄く心配してきて。




「梨愛!痛いよな、俺がよく見てなかったから……よし、病院行くぞ。」




「いいよ、いいよ!」




なんて梨愛が慌てて止めたりとか。




梨愛、ドジっ子だから机の足角で足打っちゃったりとか。




あれ、地味に結構痛いんだよね……。




あの時なんか、病院はもちろん。




それに足の角に怒ってたもんね。




拓也から見えるはずのないオーラが見えていた。