「すごいマンションだね、迷子にならないかな」

「梨華は方向音痴だもんな」

宗君が、ははっと笑うが、否めない。何度か道に迷った時に、宗君に迎えに来てもらった前科があるからだ。

「最近はマシになったよ」

「へぇ、じゃあこの辺りもすぐに覚えられるな」

「ま、まぁね」

つい強がってしまうけど、きっと自信のないことが宗君にはお見通しだろう。
妹のように見られないためにも、迷子にならないように早く慣れなきゃ、と思う私だった。



マンションは部屋の中もリッチだった。
玄関から既にオシャレではあったが、リビングダイニングがモデルルームのような見た目で驚く。

実家が広いので、広い家には慣れているけれど、古い分仕切りが多い。
しかしここは、アイランドキッチンなので、白壁の室内が広く感じ開放的だ。

大きな窓もそれを感じさせる一つだ。

「すごい!テレビに出てきそうな部屋だね、他の部屋も見てきていい?」

胸がわくわくと弾む。

「どうぞ」

リビングを出て和室へと進んだ。

「素敵な床の間」

私にとって一番のチェックポイントともいえる床の間は、書院と床脇の書院造りで、カジュアルブラウンの床板とドライベージュの絞り丸太の床柱がオシャレ。