夫婦になって変わるのは名前だけではない。

今夜からは、24年間育った家ではなく、宗君と二人で住む場所に帰宅することになる。

駒沢さんの運転する車で新居に向かう中、ひどく緊張していた。
おそらく結婚式よりも__。

新居は去年の冬に建てられたばかりの高層マンションの最上階だ。
元々は正君と住むために、おじさんが見つけくれた場所。
住所は聞いていたものの足を踏み入れるのは初めてだった。

私の部屋のものはそのまま残しておきたいという母の希望で、家具や雑貨はすべて両親と宗君の両親が揃えてくれていたので、身一つである。

服や化粧品などは事前に段ボールに詰めていたものを引っ越し業者が運んでくれているはずだ。

宗君とこれから二人で住む。

そう考えるだけで、口から心臓が出てきそうなほどドキドキしている。

宗君はどう思っているのだろうと、後部座席の隣に座る彼の横顔を盗み見るが、普段通りのクールな表情でいた。

マンションに着くと、駒沢さんにお礼を言い、エントランスロビーを抜けエレベーターに乗った。

まるでホテルのようなマンション内をキョロキョロと見回してしまう。日本庭園のある和の実家とは、まるで違う。